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Artist:
Yasumasa Morimura
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Title:
Los Nuevos Caprichos
Specifications:
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Size:
[Portfolio Box]
Prints size: 11 x 14"
[Single Print]
Small: 11 x 14"
Large: 30 x 44" -
Edition:
[Portfolio Box]
Set of 12 small prints
Edition: 1~10/25
[Single Print]
・Small: Selection of 12 images. Edition 11 ~ 25/ 25
・Large: Selection of 1 image. Edition of 10
※11 x 14" Small Printsについて
- Edition 1~10/25:Portfolio(12枚セット)
- Edition 11~25/25:Single Print -
Price:
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Thumbnails:
森村泰昌の《Los Nuevos Caprichos》は、スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤ[1746–1828]による《Los Caprichos》を題材に挑んだ連作です。ゴヤが円熟期を迎えた1799年に四大版画集の第一弾として発表されました。その“Caprichos(きまぐれ)”といったタイトルが示す通り、お雇い宮廷画家としてのゴヤの顔とは異なった彼の自由な発想や闊達な寓意に満ち、当時の社会や因習に対する痛烈な皮肉やユーモアが盛り込まれた諷刺画となっています。
かたや、森村による“新版(Nuevos)”は、ゴヤの作品に独自の解釈を与えつつ、かつ現代の世相をも映し出した森村流の現代版諷刺画となっています。ゴヤのそれが、男性を中心にした封建的社会や因習を風刺していたことに比べると、森村版はどうやら男女の立場が逆転しているようです。女性に言い寄る男性に背を向けた森村扮する美しい女性が携帯電話を手に「『恋の片道切符』はもう古い」と言い放つ作品や、「紳士諸君、あんたらの出番は終わったようだ」と家から小さくなった醜い輩をホウキで追い出す女性たちの姿……。これらも、現代の世相といったところなのでしょうか。各作品には、こうした森村が考えた現世を風刺するタイトルが、ゴヤの版画を彷彿とするようなマニュスクリプトで添えられています。
そして、森村はプリント技法にも最大の神経を払いました。ゴヤがエッチングやアクアティントの当時の最高技術を駆使して制作した銅版画、いわば「work on paper」であったことに倣い、通常の写真プリントではなく、紙の風合いを残すことのできるプラチナプリントによって仕上げています。19世紀からその再現性や美しい階調で最高峰の写真技法として伝わる古典技法に、感光プロセスに最新のデジタル技術を駆使した新旧のプロセスを織り交ぜたプラチナプリント技法が、時代を超えてゴヤと森村の作品を橋渡ししています。