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Arthur Tress

アーサー・トレスはニューヨークのブルックリンに1940年に生まれる。彼は、ドキュメンタリー写真が主流であった1970年代において、単なるストリート・フォトグラフィのスタイルに別れを告げた写真家の一人である。被写体と撮影現場でたまたま見つけたモノを写真に登場させる、劇風でシュールレアリスティックな作風がトレスの作品の特徴である。このような作風の原型は、彼が12歳のときに撮った初期の作品にまで遡ることができる。この頃、トレスはニューヨーク近郊の廃屋や古びたテーマ・パークにローライコードを手にし、何時間も過ごしたという。

美術史、文化人類学を学んだバード・カレッジを1962年に卒業したのち、6年間世界中を旅し、世界の部族民と彼らの文化を記録するため写真家として撮影を続けた。しかしながら、トレスは被写体や彼らの周囲にあるものを単に記録するわけではない。ドキュメンタリー写真のスタイルと彼の想像力、社会の片隅に生きる人たちが心理的に経験する抑圧、威圧感、苦悩を感じ取る感性を融合させ、写真に対してとても主観的で個人的なアプローチを確立させた。この彼の感性は、自分自身の同性愛者として、ユダヤ人として少年時代に経た苦悩や疎外感といった心理的経験から来ている。つまりトレスの作品は、単に個人的な心理を映し出しているだけではなく、社会における支配や差別によって被写体が感じている無力感さへも表現しているのである。

PORTFOLIO / PRINTS

  • Arthur Tress

    TRANSRÉALITÉS

    アーサー・トレス

    トランリアリテ

    不安定な青年期について アーサー・トレス 「ニューヨーク近郊の青年たちのポートレートを撮影したシリーズの一部として、1960年代後半から70年代初期にかけてこれらの3つのイメージを撮影した。 自分がこうした青年たちへ共感や親近感を抱くようになったきっかけは、きままな子供時代から責任ある大人になる複雑な過程の間に経験したそんなに遠くない自分自身の過去の記憶が関係している。
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